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(日本語) バングラデシュにおける電力部門の開発について

 

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「概要」

現在、バングラデシュにおいて、 電力の需要と供給の深刻なギャップが、同 国の経済成長の最大の阻害要因の一つにな っている。電力供給設備の最大容量が、ピ ーク時の需要 6,100MWに対して 4,000M Wに過ぎず、よってピーク時には計画的な 局所停電を実施せざるを得ない状況である (JICA、2010)。結果的に、バングラデシ ュは少なく見積もっても、GDP 換算で 3.5%程度をこの電力不足のため、失ってい るものと見なされる(Ahmed. R., 2010)。

 

1.序章
バングラデシュは、小さな国土(面積147,570平方キロ)に対して、人口の密集した(163百万人)国家である。一人当たりの国民所得が2,000ドル余りであり、同エネルギー消費量はわずか149kWhに過ぎない。限られたエネルギー供給と限られたエネルギー資源、継続的な電力カット、そしてわずか45%の国民にしか電力が行き渡っていない事実が、国民の人間的生活を妨げ、それらがバングラデシュの経済発展の主たる阻害要因となっている。現在、同国の電力部門は、主として電力省によって管理運営されている。同省は、電力供給並びにその管理に関する公的な政策責任を持ち、発電設備の開発活動の統制と監視を行っているが、前述のようにわずか45%の国民にアクセスしているに過ぎず、それらの5,500MWの通常需要に対してさえ、平均供給量が3,700MWから3,800MW程度に過ぎない。ただ最近、全バングラデシュ国民に対して、近い将来電力供給を可能にするとの発議と宣言を行った。
電力部門の主たる問題点は、政治的なものであり、当該規制機構の保守性と怠慢が原因であるが、さらに言えば、制度、市場、資金、情報、人事、技術等の諸問題の複合がその根本にある。
プロジェクト(調査)のゴールと目的:
主たる調査目的は、バングラデシュのエネルギー問題の解決に資するためのカギとなる電力政策を、バングラデシュ当局と日本の関係政策担当者(即ちJICA)への提言することにある。

2.現状
天然ガスは、主要商用エネルギーの86%を占め、石油が6%、石炭が4%、水力4%となっており、ガスの埋蔵量は継続的に減少している。石炭に関しては、5か所の炭鉱合計で29億立方メートルトンの埋蔵量が確認されており、ガスエネルギー換算で67TCF相当になる。
国内5か所に炭鉱があり、予想石炭埋蔵量は、29億トンであり、これは熱量換算でガス埋蔵量の約5倍になる。やや古くなるが、1995年版のバングラデシュ政府発行の電力システムマスタープランによると、一日辺り755MWの水力発電の潜在力があると言う。1986年には、偶然ではあるがわずかばかりの石油資源の発見があった。5,690万バレルの石油埋蔵量があると言う。各種再生可能エネルギーの中では、太陽光、風力、バイオマスが注目される。
下記データに示される電力計画シナリオに注目すると、その調査結果は、この国の1.5億人の人口を支えるために、完成後10年を超えるガス発電施設が毎日約1,700MWの電力不足分を解消する電力を生産することは、全く不可能であることを示している。
電力は、どの国の国民経済にとってもカギになるものではあるが、バングラデシュ政府は、これを軽視してきた。過去10年に渡る明確な電力戦略がなかったため、どこの国の政府であっても成功は覚束なかったろう。電力部門に関する誤った管理運営と維持努力の欠如が、その開発の足かせとなっている。現在の電力需要は、4,200MWから5,500MWの間であろうが、向こう2年の間に6,850MWに増加するものと予想されている。稼動効率、システム損失、請求プロセス等の改善が望まれる。

3. 影響
主として二種類の影響が考えられる。それらはミクロレベルとマクロレベルである。ミクロレベルでは、産業と家計は、生産量の減少に影響される。一方、マクロレベルでは、国民経済は、輸出利益の減少に大きく影響される。

4.調査方法
当調査は、質的な分析と量的な分析の2種類の調査方法により実施された。質的調査に関しては、バングラデシュ電力部門のSWOT分析、PEST分析を行い、さらに現地調査、インタビュー等を実施した。SWOT分析の結果、強みとして大きな家計数に支えられた電力需要、安い労働力、継続的な電力需要の増加が上げられ、弱みとして、不適切な調査、意思決定者の不在、不備な商業化計画等が挙げられた。機会としては、IPP(独立系発電事業者)へのFDI(外国直接投資)が認可されたことがある。脅威としては、引き続く政策の変化、政治の不安定性、贈収賄と誤った管理運営が挙げられる。
PEST分析においては、バングラデシュは、上限のないFDIの使用が可能であり、GDPは毎年6%程度成長し、一方で為替は比較的安定し、63%という識字率、旺盛な購買力、新技術の受け入れに積極的な国民性が挙げられる。我々は、京都の京セラ本社を訪問し担当者にインタビューを実施して現地情報を得た上で、バングラデシュを訪れ、市場と消費者の状況を調査した。さらに東芝本社の発電部門上級管理職にインタビューし、バングラデシュの発電部門に関する深い理解を得た。
一方、量的分析方法として、現在の発電リソースが実需要に対してどこまでこれを満たしているのかを分析してみた。下記のグラフは、GDPの成長率がいかに各種の埋蔵エネルギー資源に対する需要を早めるのかを示したものである。石炭に関して言えば、資源が一定だと仮定して、GDPが各々5,6,7,20%の割合で成長すると、埋蔵量は顕著に減ることが予想され、各々2046年、2040年、2037年、2027年には枯渇する計算になる。ガスに関しても、同様に確認埋蔵量が今後も一定だと仮定して、GDP成長率が、7%または20%で計算すると、各々2023年あるいは2019年には枯渇してしまう。
100MWの発電を20年の間隔で建設することを前提として、各リソース(石炭、水力、太陽光、ガス、風力、原子力)を使用した場合のコスト計算をシミュレーションしてみた。コスト計算には、設備・建設費、燃料費、変動費(稼働費用)、固定費(メインテナンス費、人件費・管理費)、その他固定費(減価償却費、ファイナンス費、為替引当金、一般管理費、間接費)さらにライフサイクルその他を考慮に入れた。このシミュレーションは、バングラデシュ電力開発局の2008/ 09年版レポートの数値を使用した。
上記のグラフにあるように我々の分析によると、ガスが設備費は一番安く、恐らくは技術的にも成熟しているため、他の発電施設より建設期間も短い(2から3年)。再生可能エネルギーの中では、風力と水力は、安価である。発電に要するコストに影響を与える2番目の大きな要素は、発電所設備の建設に必要な諸費用の急激な上昇である。もし、100MWの発電所を建設すると仮定した場合、我々の分析によると、燃料費、鉄鋼並びにセメントの価格の上昇を注意深く考慮に入れなければならない。これに関して、コスト構造を大きく以下の4つのカテゴリーに分けてみた。つまり燃料費(主たるコスト要因)、変動費(稼働費用)、固定費(メンテ費用、人件費、管理費)さらに配分固定費(減価償却費、ファイナンス費、交換レート、一般管理費)である。これらの主要コストのうち、年間運営費が大きな割合を占める。そこで、Graph 6を見るとガスの割高さが目立つ。

5.提案のための政策骨子の分析
コストと持続可能性を考慮に入れた上で、ベストな電力リソースを提案するために、政策、制度、技術、市場需要、ファイナンス、情報、人材等さらに持続性を基本に、どの電力リソースがベストなのか、各セクターを注意深く見渡してみた。政策並びに制度的な面から考えると、IDCOLとSEDAが設立され、エネルギーの輸出が禁止された。市場需要、ファイナンス、持続可能性並びに人材に関しては、太陽光発電が一番高い優先度を持つ。太陽光エネルギーは、継続的に太陽光から変換されうるからだ。当該発電は、一回の設置費用が掛かるだけであるが、太陽光が風力、石炭を含めた三つの中でもっとも効率よく持続可能性が高い。

6.最終的提案
二つの異なった見地、つまり量的手法と質的手法による注意深い判断、並びに世界的な低炭素排出エネルギー資源の使用という趨勢からも、太陽光発電が地球上における唯一無二かつ豊富な発電資源であると確信するに至った。特にバングラデシュ政府には、太陽光発電を優先するよう強く提案したい。

7.実施
我々の分析では、バングラデシュは北緯200度30分から260度45分に位置すると言う地理的要因と熱帯性気候から、太陽光発電が最も適した発電方法であることは明らかである。一日当たり(一か所での)7時間から10時間の集光のみならず、異なる場所での集光が完璧に近い形での発電を可能にすると思われる。そのため、私企業による太陽光発電も始まっており、特に地方で極めて成功しているが、なかでもグラミン・シャクティが主導的地位にある。100万世帯の電力が太陽子発電で賄われることが期待されている。

8.結論
バングラデシュは、現在のところすべての太陽光発電用パネルを京セラ1社から輸入している。従って同国においては、残念ながら太陽光エネルギーのさらなる一般化の努力が不足していると言わざるを得ない。(ガスによる火力発電等に代わる)補完的エネルギー資源となるべく、政府並びに私企業が手に手を取り合ってバングラデシュにおける巨大な可能性としての太陽光発電をさらに推進して行かなければならい。

 

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